なんだか社長

名刺

[2007年03月01日(木)]

サラリーマンは会社から名刺を支給してもらいますが、独立すると自分で名刺を用意しなければなりません。いままでの経験上、多くのフリーランスの方は名刺作成キットを買ってきて、自分でパソコンとプリンタを使って作っておられます。偉そうに書いてますが、私自身も独立して最初の名刺はプリンタで自分で作ってました。

が、この手作り名刺って結構印象悪いように思います。まずミシン目がけばだっているのが見苦しい。ミシン目ではないタイプの名刺キットもありますが、それでもけばだちははっきりわかります。インクジェットプリンタのインクは耐水性が悪いですからにじんでいたり、インクがこすれて汚れていたりします。そして、なにより名刺キットで作ってきたということは、受け取った相手に「ちゃんと事業を営んでいるのかな」という印象を与えかねません。もちろん、印刷屋で名刺を作るのだってたいした手間は掛かりませんし、騙すつもりの詐欺師なら隙なく身繕いしてきますから急こしらえの名刺は誠実な証という見方もありますが、それは人間観察の上級編。一般的には、やはり手作り名刺は印刷屋のちゃんとした名刺よりは印象悪いと思います。

名刺交換の場というのはファーストコンタクトですから、能力とか実績とか人柄などは限られた情報からしか伝わりません。その数少ない情報源が名刺ですので、これは手を抜かない方がいいと思います。印刷に出したら高くつきますが、実際にはそれほど高価ではありません。100枚でも数千円程度。選挙に出馬して数万枚配るとか言うなら別ですが、フリーランスでしたら年に100枚か200枚も使えばいいところ。けちるコストではないと思います。

さて、実際に印刷で作るにしても、どこでお願いするか。電話帳で調べて近所の印刷屋に駆け込んでもいいんですが、ネットショップでも作ってくれるところがあります。実際、私もそういったネットショップで作ってます。街の印刷屋でも同じですが、特にネットショップに依頼する場合に大切なのは、必ずサンプルをチェックすること。大抵はダミーの名義での印刷サンプルを無料で配布していますので、それを請求します。サンプルを配ってないところはパスです。

なんでサンプルをチェックするかというと、実は名刺のネットショップの中には名刺キットを使ってプリンタで作成するところもあるのです。そういう商売を否定しませんが、上記の理由でわざわざ印刷屋を使うわけですから、プリンタ制作では困ってしまいます。サンプルを請求して、どういう印刷をするか確認しましょう。また、紙質や色などもこのときに確認できますしね。

さて、実際に自分で名刺を作るとなるとそのデザインも自分で考えないといけません。先ほども書きましたとおり、名刺を渡すというのはファーストコンタクトですから、相手の印象に残ることが大切です。実際にどういう名刺がインパクトがあるか、印象に残るか。私は試しに自分が過去に貰った数百枚の名刺をチェックしてみました。すると、驚いたことに印象に残る名刺はほとんどありません。没個性的なデザインの名刺がほとんどです。一時期流行った顔写真入りの名刺も何枚かありましたが意外と印象に残りません。透明紙を使ったものや、全面色刷りなども名刺箱の中では目立ちませんね。

実際にどういうデザインにしたのはかここでは載せませんが、なんとか作った名刺はそれなりのデザインになったようで、名刺を渡した時にコメントを貰えることもあるなど、印象作りにそれなりに貢献してくれているようです。

事務所をどうするか

[2007年03月03日(土)]

独立して起業する場合に仕事場所をどうするかという問題はまず発生します。いくつか考えられる代表的なパターンと、そのメリット・デメリットをまとめてみました。

自宅兼事務所
メリット:費用が少なくて済む。通勤時間が掛からない。服装はラフでよい。時間の融通が利き、主婦で起業などの場合家事との両立がしやすい。
デメリット:人を雇用しにくい。自己管理が出来ていないと作業がはかどりにくい。打ち合わせなどで顧客が呼びにくい。業種によっては信用を得られない。外出が少なくなり、引きこもりのような状態になりやすい(運動不足、世間の動向からのズレなど)
賃貸事務所
メリット:人を雇ったり、顧客を迎えることが容易。信用を得やすい。
デメリット:費用が掛かる。
インキュベータ施設
メリット:賃貸事務所に加えて、さまざまな起業支援を受けられる。同じ施設の他の事業者と交流できる。
デメリット:付加価値の分、通常の賃貸事務所より費用がかさむ(自治体主催で逆に格安のものもあります)。施設によっては入居審査がある。契約期間が数年程度と短い場合がある。
オフィスの一角を間借り
メリット:費用が少なくて済む。電話やコピー機などのオフィス機能を共用できる。
デメリット:自宅兼事務所ほどではないが、信用が得にくい。業務の機密性が保てない。
出向先で作業
メリット:費用が掛からない。
デメリット:設備を相手負担とする分、報酬が少なくなる。契約が切れたら仕事場所を失う。複数の取引先を持てない。

考え方は人それぞれですし、業態業種によっても最適な方法は違うでしょう。私の場合は不要な費用は掛けないために自宅事務所を選択しました(営利追求という企業として当然の姿勢)。費用の中でも固定費は少なくて済むなら少ない方がいいです。その分、とりえる選択肢が広がりますから。

信用が得られないという問題もありますが、どうせ起業したての会社なんて信用はありません。信用は仕事をしていくうえでの実績で築くしかありません。事務所が信用を生むのは、事務所に見合うだけのスタッフと金を事業として回しているとみなされるからです。分不相応な事務所を構えていた場合、見栄っ張りで中身の無い奴とみなされて逆に信用されない事も考えられます。

1円起業

[2007年03月04日(日)]

以前から合資、合名会社では最低資本金規制はありませんでしたし、確認会社では資本金1円で会社設立可能でしたが、新会社法が施行されて原則全ての会社において最低資本金の規制がなくなりました。それはそれでいいんですが、報道などによっては、まるで1円玉を握りしめて法務局に行けば会社が設立できるかのように言っているようにもみえ、それは違うだろと思わなくもありません。少しその辺りの事を書いてみたいと思います。

まず1円だけで会社を作れるかというと、これはできません。1円で済むのは資本金だけで、会社設立の手続きには登録免許税や定款の印紙代など、どうしても省略出来ない費用があります。これらを含めますと、最低10万円程度はないと会社は作れません。

その資本金についてもですが、これは別に会社設立にあたっての政府への上納金でもなんでもありません。それはどちらかというと登録免許税などの方です。では資本金は何かというと、当たり前の話ですが商売の元手。どんな商売でも、始めるにあたっての設備投資と、実際に入金が始まるまでの運転資金は絶対に必要です。政府として、その費用は最低でも300万円は掛かるんじゃないですか、というのが最低資本金規制の本来の目的なわけです。SOHO起業などでは300万円も要らないだろうという話もあるわけですが、1円で済むわけではないでしょう。

最低資本金制度は参入障壁、規制だったわけで、これも規制緩和なわけですが、緩和されて手放しで喜んでいいというわけでもありません。この規制はいわば元手も用意できない弱者が起業できないようにして保護していたわけですが、その保護が外れてしまったわけです。そこに参入して1円で起業して、成功すればいいですが、失敗するかもしれません。むしろ、資金力がないわけですから失敗の可能性は高いでしょう。起業の失敗も自己責任になってしまったわけです。

実際のところ、マスコミ受けを狙って1円で起業しても、設立の時点でどう考えても資金が不足します。となると誰か(大抵は創業者個人)から借りてくるしかないわけで、それならば資本か負債かの勘定科目の違いだけで、実質は一緒なわけです。なのに、1円起業だと設立即債務超過です。例えば銀行に融資を依頼に行っても相手にもしてもらえないでしょう(負債と資本を実質一緒とみなして融資する銀行もあるかもしれませんが)。その代わり、利益が出たら資本回転率などの指標はものすごい事になるでしょうけれど。

ま、私自身もたいした資本金を積まずに会社をやっているわけで偉そうな事は言えませんが、受けねらい以外の理由で資本金1円にするのはやめといた方がいいんじゃないかと思います。

社長のジレンマ

[2007年03月07日(水)]

サラリーマンは不自由なものです。自分がやりたい仕事を必ずできるとは限らない。というか、できなくても当たり前。当人の技能に合っているかも関係ありません。

極力ふさわしい人に仕事を割り振るようには努力はされるけど、必ずそうなるとは限らない。20代の頃は私もこの辺のところを勘違いしていて「私のスキルを正当に評価されてない」とか「上司は私を潰そうとしているんじゃないか」とか本気で考えてました。ああ、青いなぁ。恥ずかしいなぁ。

結局、サラリーマンが唯一持っている自由といえば「会社辞めます」と言える自由だけ。

じゃ、出世して管理職になれば自由になるかというとそんなことはない。組織なんだから、上司はその上司の業務命令に従わなければならない。

上司の上司をたどっていったら、いずれ社長にたどり着く。社長に上司は居ない。株主はいるけどオーナー社長だったらそれもなし。

よし、じゃ独立して自分で会社を起こすか。自分が社長になれば、自分のやりたい放題だ。と考えたところで、はたと気が付いた。それは当時、自分の勤めている会社の社長を改めて見てみたから。

その会社は学生ベンチャーから起業された個人アトリエ的な会社でした。当然、社長が自分自身がやりたい仕事を実現するために作った会社です。会社ではその社長がやろうと思っていた業務を行っているけれど、社長自身はそこにタッチしていませんでした。なぜなら、通常業務はスタッフに割り振ることはできるけど、経営は割り振ることが出来ないから。結局、社長は自分のために立ち上げた会社に自ら絡めとられてしまって、身動きできなくなってしまっていまいた。

自分自身が好きにするために会社を作ったのに、そのなかで一番好きに出来ないのが社長自身というのは、社長のジレンマだなぁと思った。というか、今でも思う。もちろん、それに対する答えはいまだに見つけられていません。