マンション談義

我が家では2001年12月に分譲マンションを購入しました。マンションを買うにあたって調べたり考えた事、また実際に住んでみて思う事をまとめてみました。

住宅ローン:住宅ローンの借り換え方

[2005年11月08日(火)]

ご多分に漏れず、我が家でも住宅ローンの借り換えについていろろと検討していました。結論としては、現状我が家では借り替えはしてもメリットは少ないと判断したので、そのままにしています。それよりは繰り上げ返済をしていった方がよほどメリットがありそうです。ただ、借り換えはしていないものの、いろいろ調べた中で気になった点がいくつかありましたので、ここに書き出してみます。

借り換えの目的
何でもそうなんですが、モノを買ったりするには目的があるはずです。住宅ローンの借り換えの場合は、返済総額の軽減が目的という場合が多いと思います。もちろん、月々の返済額を抑えるとか、変動のリスクを回避するとかという場合もあるでしょう。いずれにしても、そも目的を達成する為にスタートするはずなんですが、キャンペーンだの特典だのいろんな付加条件がついてくると、ついそっちの細かいところに気がいってしまいがちです。ややこしくなってきたら、まずはこの最初の目的に立ち返って考えてみるべきでしょう。そして、返済プランが出来上がったら、最初の目的をちゃんと達成出来ているかのチェックが必要です。
借り換えの限界

これはうっかりしがちだと思うのですが、どんなにいい条件の借り換えをしたところで、元本は減りません。軽減できるのは手数料と支払い利息だけです。3000万円のローンを組んで、借り換えによって支払い総額が2500万円になるなんて事はありません。いくら借り換えがお得だと言っても、限度があるわけです。

例えば、3000万円を35年元利金等返済でローンを組んだとします。35年間の総返済額は金利によって次の通りになります。

金利 月支払額 総支払額 総支払い利息
1% ¥84,685 ¥35,567,700 ¥5,567,700
2% ¥99,378 ¥41,738,760 ¥11,738,760
3% ¥115,455 ¥48,491,100 ¥18,491,100
4% ¥132,832 ¥55,789,440 ¥25,789,440
5% ¥151,406 ¥63,590,520 ¥33,590,520
6% ¥171,056 ¥71,843,520 ¥41,843,520
7% ¥191,656 ¥80,495,520 ¥50,495,520
8% ¥213,078 ¥89,492,760 ¥59,492,760
9% ¥235,197 ¥98,782,740 ¥68,782,740
10% ¥257,901 ¥108,318,420 ¥78,318,420

例えば、現在年利4%で住宅ローンを組んでいたとして、借り換えて節約できるのは最大でも2500万円というわけです。

借り換えの目安
よく「金利差1%以上、残債1千万円以上、残期間20年以上が借り換えの目安」なんて言いますよね。まあ、きっかけの目安としてはいいんでしょうが、この条件をあまり厳密に考える必要はないと思います。どこの銀行でも窓口で借り替えシミュレーションをしてくれますので、どれくらい得になるかなんてすぐに分かります。ネット上でその場で計算できるところもありますし。また、その結果が大した差額でなかったとしても、家計状態によっては大きな意味を持つ場合もあるでしょう。変に目安にとらわれることなく、とにかく試算して比較してみるべきだと思います。
長期固定か変動か

借り換えに限らず、住宅ローンではよく比較される問題です。なお、短期固定は実質的に変動金利と同じ事ですので、変動に含めて考えます。雑誌などでは「今後、金利が上がると思うなら長期固定、下がると思うなら変動で」なんてアドバイスしてますけど、これはナンセンスだと思います。今後の金利動向なんて誰にもわからない事を、素人に予想させて判断させるなんて無茶もいいところです。

長期固定か変動かというのは、リスクを取るかどうかという事だと思います。「借り換えの限界」で金利による返済総額を比較しました。変動金利の場合も、トータルでの平均金利がいくらになるかと考えればあの表が適用出来ます。現在4%固定で3000万円借りていたとして、変動金利に借り換えると最大で約2000万円のメリットから最悪で約5200万円のリスクを負うという事になります。なお、ここでは最悪の場合で10%の金利までしか計算していません。実際には10%どころか6%でもまずあり得ない事だとは思うのですが、何といっても先のことは分かりません。ここで注意すべきはもちろんリスクの方で、そのリスクに耐えることが出来ないのなら、多少の損は覚悟の上で固定金利にすべきでしょう。結果的に35年間金利が低いままで推移したとしても、その場合の余分な支払利息はリスクを回避した保険料だったわけです。

借り換えでは一般には無理ですが、新規借り入れの場合は長期固定と変動金利を組み合わせる事も出来ます。固定と変動の比率によってリスクの幅を調整することができます。例えば、半額を固定で残りを変動にした場合、最大1000万円のメリットから最悪2600万円のリスクになるわけです。全額固定の場合のリスクは負えないけど、多少ならならなんとかという場合にはこんな方法もありでしょう。

諸手数料
借り換えに伴う諸手数料が安かったり無料だったりなんてのはよくある話です。何でも高いよりは安いほうがいいのは当たり前ですが、一方でタダより高いものは無いなんて事も言います。銀行が商売で住宅ローンを貸し出している限り、意味無く手数料が無料になったりするわけがありません。客寄せのためのキャンペーンという事もありますが、実は金利がちょっと高いなど別のところで払うだけかもしれません。もちろん、コストダウンの結果手数料が安くなっている場合もあるでしょうが。無料だからイイ、ではなくて総支払額で比較して安くなっているかどうかで判断すべきでしょう。
繰上げ返済手数料

一部の銀行では繰上げ返済手数料が無料だったりします。高いよりは安いほうがいいんですが、果たして繰り上げ返済の手数料は無料で意味があるんでしょうか。

繰上げ返済は実際にはそれほど多くする機会のある事ではありません。せいぜい2,3年に一度。全返済期間を通して10回もすれば多いほうというのが一般的ではないかと思います。だとすると、1回あたりの手数料が1万円だったとしても、トータルで10万円程度しか掛からない事になります。安い金額ではありませんが、支払い総額がどれだけ安くなるかの方が大事です。

繰り上げ返済手数料が無料でなおかつ返済額に制限が無い場合、毎月数万円程度でも繰り上げ返済する事も可能ですし、普通預金の余剰金を自動的に繰上げ返済に回してくれるサービスをしている銀行もあります。このように毎月繰り上げ返済をするならば、繰り上げ返済手数料が無料であるのも意味がありそうですが、果たしてそうでしょうか。

例えば、年利3%で借りていて毎月10万円ずつ繰り上げ返済した場合と年末に120万円繰り上げ返済した場合との支払い利息の差は(¥100,000×0.03÷12)×(11+10+9+8+7+6+5+4+3+2+1)=¥16,500です。微妙なところですね。これまた、他の条件も含めて総支払額がどうなるかによって簡単にひっくり返りそうです。

キャンペーン金利
最近はどの金融機関も住宅ローンに力を入れていますから、金利優遇キャンペーンも盛んに行われています。3年固定で1%なんてのも珍しくありません。そこで注意しないといけないのは、キャンペーン終了後の適用金利です。通常の金利が3年固定2.5%で、キャンペーンの優遇で1.5%引いて1%だったとして、3年後以降も引き続き1.5%の優遇を受けられるのならいいのですが、通常金利が適用されるようでしたら結果的に高くつく可能性もあります。
繰上げ返済との比較
借り換えを検討する場合、繰上げ返済とも比較してみるべきでしょう。手数料50万円払って借り換えをする場合と、その50万円を繰り上げ返済に回す場合と(繰上げ返済は一定額以上という場合は無理ですが)。一般に言って、繰上げ返済では元本そのものが減りますので、総支払額の削減効果は非常に高いです。固定金利から変動金利に借り換える事によるリスク増大もありません。
ところで借り換えは必要なのか
借り換えというか、繰り上げ返済も含めて支払い総額を減らす行為そのものですね。「そんなの当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんが、そうでない場合もあります。それも仮定の話ではなくて、つい最近の日本でも。それは高度経済成長からバブルまでの期間です。この間では、支払い利息をはるかに上回る勢いで不動産の価値が上がっていましたから、借金して不動産を買い数年で売り抜けるなんて事が当たり前に行われていました。まあ、今後の日本でそのような土地急騰が起こるかというと疑問ですけど、経済急成長中の海外の土地投資を行う場合などには十分に当てはまります。最初に借り換えの目的で書きましたが、トータルでみて得になるかどうかが大事なんだと思います。手段として借り換えがあるわけで、借り換えは目的ではありません。

マンションメモ:売るか、貸すか

[2005年11月13日(日)]

終の棲家と思って買ったマンションでも、転勤や家族構成の変更などでどうしても住み続けられなくなる場合があります。空家にしておけるならいいんですが、普通は次の住居との2軒分のローンもしくは家賃を負担しきれないでしょう。そうした場合、貸すか売るかという事になるのですが、その判断の基準はどこに置いたらいいのでしょうか。考えられる条件はいろいろあります。数年で戻ってくるのかどうかとか、残債があり過ぎて売るに売れないとか。貸した場合に賃借人とのトラブルが怖いとか、借り手がつかないというリスクもあります。今後数年で絶対に不動産が上がる/下がるという予測をしていてそれに従うというのもあるでしょう。

それらさまざまな条件を考慮しても、それでも売るか貸すか決めきれないという場合、次のような考え方もあるのではないかと思います。それは、貸した場合と売った場合のトータルリターンを比較するという方法です。なお、これはあくまでも仮定の話ですから、絶対にこういうリターンの関係になるとは限りません。また、不動産自体の価値の変動によっても簡単にひっくり返ります。あくまでも、参考のひとつとして捉えてください。

ここで考えるのは、売買相場と家賃相場の経年変化です。どちらも築年数が経つほど下がっていくのですが、その下がり方は一定ではありません。一般に、売買価格は築浅の時期に一気に下がって、あとはなだらかに下がる傾向にあります。一方、家賃は時期の影響をそれほど受けず、じっくりと下がっていく傾向にあります。

新築時3000万円の物件を考えてみましょう。解体までに50年居住可能で、解体時に1000万円の残存価値があったとします。その間の売買価格の変動は3000万-sqrt((1-(50-(経過年)*(50-(経過年)/(50*50))*2000万円だったとします。ややこしい式ですが、これは楕円カーブを描くという仮定です。一方、家賃は新築時で15万円/月。50年後で5万円/月とします。この間、家賃の変動は一定で(15-(経過年)/5)万円だったとします。このとき、ある経過年において売った場合と貸した場合のトータルリターンは次の通りになります。なお、貸し出した場合には50年後の売却価格1000万円を加算しています。

経過年 0年 5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 45年 50年
売却価格 \30,000,000 \21,282,202 \18,000,000 \15,717,143 \14,000,000 \12,679,492 \11,669,697 \10,921,216 \10,404,082 \10,100,251 \10,000,000
総家賃+最終売却価格 \70,600,000 \61,840,000 \53,680,000 \46,120,000 \39,160,000 \32,800,000 \27,040,000 \21,880,000 \17,320,000 \13,360,000 \10,000,000

この表から考えるといつであろうとも貸した方が得という事になります。もちろん、これはあくまでも仮定の話です。売却価値が試算通りに減っていくとは限りませんし、家賃相場だってそうです。50年後の残存価値は高く見積もり過ぎでしょう。また、50年後の残存価値はほぼ土地のみですから、定期借地権の物件の場合は当てはまりません。貸した場合にはトラブルの他にも、固定資産税や家賃に対する所得税が発生し納税の手間が掛かります。普通に考えたら、素人が変に家賃収入を期待するよりは、面倒を恐れて多少損でも売ってしまった方が利口ではあると思います。また、売った場合はその場で全額が手に入りますが、貸した場合は当面は家賃しか手に入りません。即座にまとまったお金が必要なら売るしかありませんし、また数十年という期間を考えると、その間の運用利回りも考慮に入れないといけません。

余談ですが、最初から貸しに出した場合の総家賃はすごいですね。販売価格の2倍強ですか。これ見ると不動産投資をいっちょやってみるかという気にもなってきますが、これが50年間の総計であるという点にご注意ください。年利に換算しますとわずか4.71%です(単利換算)。複数の物件を管理していたり、他にも収入があって節税対策とかでない限り、庶民が不動産投資を行うのは割りにあっていないと思います。